本記事では、
「大学院の院試を受けるけど生化学のおすすめの教科書や参考書ってある?」
「生化学の問題集や演習書が多すぎてどれを使ったらいいのかわらない!」
このような疑問にお答え致します。
こんにちは。京都大学大学院OBのインプロです。
私も院試では無機化学が出題されました。その対策を必死で行いました。
本稿では、大学院入試(院試)のおすすめの生化学の参考書や問題集をレベル別にまとめてみました。
「何から手をつけて良いかわからない!」という人は、ぜひ参考にしてみてください。
院試の勉強法については「院試勉強法バイブル」を読むことを絶対におすすめ致します。貴重な院試勉強の情報が載っているので非常に参考になると思います。
ちなみに、kindle unlimited(1ヶ月無料)利用すれば、無料で読むことができます。1ヶ月間だけ利用して解約するのもありなので、金欠な学生にはありがたいです。
【1-1】参考書 入門・初級者 (はじめて学ぶ人向け)
「マンガでわかる生化学」は、簡単な部分はマンガで説明し、難しい部分はマンガ無しで文章で説明する構成の本です。
対象は、医学・薬学・生物学・農学・生体工学系の学生や、この分野の社会人で営業の人、高校生で生化学に興味がある人を対象にしています。
つまり、高校生~社会人の文系まで幅広く対応できる入門書です。
生体がどんな化学物質でできているのか、その構造や性質を明らかにして、それらがどのような化学反応を起こして生命活動を維持しているかをマンガでわかりやすく解説しています。
初めて生化学を学ぶ方でも、多元的な生化学の全体像を無理なく理解できるよう構成している。
目次
第1章 体の中で起こっていること
第2章 光合成と呼吸
第3章 生活の中の生化学
第4章 酵素は化学反応の要
第5章 核酸の生化学と分子生物学
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「亀田講義ナマ中継 生化学」もイラストをふんだんに使って、優しく説明してくれる本です。生化学をはじめて学ぶ人におすすめできる本です。
代々木ゼミナール予備校の人気講師が説明してくれるので、面白い講義です。
効率よく理解できるポイントはもちろん、イメージしやすい覚え方などのテクニックも教えてくれます。
目次
第1回 三大栄養素ってにゃんだ?
第2回 炭水化物ってにゃんだ?
第3回 リボースってにゃんだ?
第4回 ATPってにゃんだ?
…
第22回 筋肉増強にはBCAAにゃん!
第23回 オルニチン回路って格好いいにゃん!
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「好きになる生化学」も、豊富なマンガがある生化学の入門書です。
化学の予備知識がなくてもわかるように、書かれています。
化学の基礎知識の復習から始まり、糖や脂質、蛋白質の構造や代謝のポイント説明してくれます。
さらに、分子生物学や遺伝子工学まで突っ込んで説明があります。
目次
第1章 生化学への橋渡し
第2章 細胞を構成する化学物質
第3章 代謝生化学1 ATPを作る
第4章 代謝生化学2 ATP以外のものを作る
第5章 遺伝
第6章 酵素
第7章 生体の生化学
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「生化学―からだの不思議を解き明かす」も生化学を最初に学ぶ人におすすめできます。
イラストやマンガを使ってわかりやすく解説する本書ですが、上記のマンガ系の本より少しだけ詳しめに書いてあるように感じます。
左ページに解説があり、右ページにイラストがある構成です。イラストがイメージさせてくれてわかりやすいです。
しかし、代謝や酵素、遺伝子の仕組みと働きは複雑で、苦手意識のある方も多いのではないでしょうか。
医療従事者勉強としてや、今後医師・薬剤師・看護師・栄養士を目指す学生の方にもおすすめできます。
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【1-2】参考書 基礎 初級者
「休み時間の生化学」は、バイオを学ぶすべての大学生向けに書かれたやさしい入門書です。
とにかくやさしく書くことに力を入れています。また、10分で83項目学べるのでちょうどよいです。
これだけですべてを学ぶことは厳しいですが、この本をざっと読んだ後に、より深い本へいくといいと思います。
目次
Chapter1 生化学、ちょっとそのまえに
Chapter2 生命の形
Chapter3 生命の反応
Chapter4 生命の複製と恒常性
Chapter5 生命をしかける 酵素
Chapter6 生命をつくるもの
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【1-3】参考書 標準 中級者
「生化学 (カラーイラストで学ぶ 集中講義)」は、図やイラストが豊富で学びやすい参考書です。上記の本よりだいぶ進んで、学びやすいです。
この本は、期末試験で問われる内容と、それに対する模範解答を記載する形で進んでいきます。
例えば、「生体膜は何でできている?」という問題をページのタイトルにして、その模範解答が下に「生体膜は両親媒性のリン脂質二重膜でできている。リン脂質の種類としては~~~」という形で書いてあります。
その模範解答の詳細な説明が、ページ全体に渡って書いてあるので、レイアウト的にもわかりやすいです。
リン脂質の二重膜の構造であったりもカラーイラストとカラー図で丁寧に説明されているので、直感的に理解できます。
ちなみに、ページの欄外には“臨床とどうつながるのか” 、“どう活かされるのか”を掲載してあるため、学問としてだけでなく、“応用例として実際にどのように使われるか”が理解できます。
人気があるのか、第2版に改訂されています。
ホームページで中身をみれました。
「トコトンわかる図解 基礎生化学」
【2-1】教科書 入門~基礎 初級者~中級者
「ベーシック生化学」は学部1~2年生におすすめできる教科書です。
事象や原理だけなく、「なぜそうなるのか」を説明した本です。豊富な図や用語解説もしっかりしています。
また、章末問題もあり、理解を助ける工夫がしっかりあります。インターネットで章末問題の解答がみれます。結構しっかりしています。
Ⅰ部 生化学の基礎/Ⅱ部 生体分子の構造と機能(1.タンパク質 2.糖質 3.脂質 4.生体膜 5.機能性タンパク質 6.核酸)/Ⅲ部 酵素(7.酵素触媒 8.ビタミン)/Ⅳ部 生体エネルギーと代謝(9.代謝 10.糖質代謝 11.グリコーゲン代謝と糖新生 12.クエン酸サイクル 13.電子伝達と酸化的リン酸化 14.光合成 15.脂質代謝 16.アミノ酸代謝 17.代謝の統合 18.シグナル伝達 19.ヌクレオチド代謝)/Ⅴ部 遺伝子の複製と発現(20.DNA複製,修復,組換え 21.転写とRNAプロセシング 22.タンパク質の合成と成熟 23.遺伝子機能の解析技術 24.遺伝子発現と細胞増殖,死,がん)
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「シンプル生化学」は20年改訂を続けられてきた日本の有名な教科書です。この前版以降フルカラーになりました。
入門書では物足りなけど、応用の本では難しくてわからない、という人に向けて書かれています。
ヴォート、レーニンジャー、リッピンコット、マッキーを読んでも挫折可能性があるため、最初は日本人が書いた本を読むことをおすすめします。
生命科学、医療技術系学部のみならず、医学部の学生でもハーパーなどへの橋渡しとして、利用できます。
【2-2】教科書 標準 中級者
「ヴォート基礎生化学 第5版」定評あるヴォート生化学をコンパクトにまとめ、基礎概念を確実に把握できるよう配慮された教科書です。それでも700ページほどあります。
上記のシンプル生化学やベーシック生化学で物足なりない人向けです。医学部の低学年の学生にもおすすめできます。
ホームページで中身をみれます。
【2-3】教科書 応用 上級者
ヴォート、レーニンジャー、リッピンコット、マッキー、ハーパーと名著が揃っています。通常、医学生でもここまで完璧にするのはオーバワークとも言われています。
勉強するに当たって辞書的に使用するというのが良いと思います。どれを選んでも間違いないです。
「イラストレイテッド生化学 (リッピンコットシリーズ)」は生化学全領域(生化学および関連臨床領域)の必要不可欠な知識をコンパクトにまとめたテキストです。
700ページほどで、ハーパーに比べても半分以下の分量でまとめてくれています。ハーパーよりわかりやすいという意見もあります。
フルカラーのイラスト・写真・表により大切なポイントをを視覚的に理解でき構成になっています。
「学習問題」175問も付いており、解説と解答がついています。学習の際に理解を深める助けになるでしょう。
自身の理解度を確かめながら学習を進められる.さらに付録「臨床症例」の症例問題とその詳細な解答により,教室で得た知識をベッドサイドで活用する力が身につく.
国家試験(医師、歯科医師、薬剤師、看護師など)対策にもしようできます。
⇓前版です。
「イラストレイテッド ハーパー・生化学」は医学部よりの生化学の本です。多くの著者の貢献で進展する生化学の世界で改訂を重ねてきた名著です。
改訂回数が30版とエグいです。ページ数も1000ページ程度あり、辞書的な本です。
医学部以外の人が敢えて選ぶ必要はないと思います。図書館で辞書的に利用し、気に入ったら購入すればよいと思います。
「マッキー生化学」も有名な生化学の本です。全800ページほどです。
きれいなカラー図版で人気があります。
一般化学と有機化学の復習章が追加されて、さらに学びやすくなりました。索引がないので使いにくいという意見もあります。
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「レーニンジャーの新生化学」も世界的に実績のある教科書です。最近改定されたばかりです。上下巻合せて2000ページ超えの大長編です。
生化学・分子生物学領域のを初めて学ぶ学生から、研究者まで対象としています。独学もできるくらい丁寧に作り込まれています。図、表も豊富です。
しかし、初学者が最初からこれはなかなか難しいので、別の参考書と併用して勉強すると良いでしょう。
以下は前の版です。レビューがあるので参考になります。
「ヴォート生化学」は生化学の世界的にも有名な本です。辞書的に使用する本でもあります。
非常に詳しい内容が書かれており、上下に分かれております。カラーの図も美しく描かれており、目で見て直感的に理解できます。
ただし、わかりにくい部分も多々あるため、別の教科書や参考書と合せて使用するとより効果がたかいと思います。
教科書として人気も高く第4版まで改訂されています。ただし、2012年から改定されていないので、そろそろ改訂してほしいですね。
【3-1】問題集 入門 初級者
「スッキリわかる!グングン身につく!生化学ドリル」は、演習形式学んでいくため、期末試験などの知識の整理に役立ちます。
穴埋め式で解説文を解いていきます。○✕の一問一答もあり、理解度がチェックできます。
別冊の解答で間違えやすいポイントもしっかり押さえることが可能です。
ただ、教科書を通読したり、講義を聞いていても身につかない生化学の知識を、身につけてくれる本です。
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【3-3】問題集 基礎 初級者~中級者
「演習で学ぶ生化学―全問解答付き」は、演習を通して生化学を、独学で学んでいける本です。2度、改定されています。
基礎から例題を解きながら生化学の理解を深めることが可能な本です。
例題、演習問題ともに、詳細な解答が付いているのがGOODです。独学でも安心できます。
また、問題を解きながら学ぶことがかのうなため、非常に効率的な問題集です。個人的に好きな問題集です。
第1章 生物を構成する物質
第2章 酵素
第3章 代謝
第4章 遺伝情報の発現と調節
以下は前版ですが、Amazonで中身を少し確認できます。
【3-3】問題集 標準 中級者
「生化学・分子生物学演習」は生化学の演習書のなかでも、人気がある本です。生化学の数少ない問題集の良書といわれています。2011年に出版されています。
対象者は、生命科学を学ぶ諸分野(理・工・医・薬・農)の学生です。
下記の目次の中から、幅広く269題を収録しています。一度改訂されており、英語問題を追加しています。
期末試験や、大学院入試対策に最適です。ただ、難易度が高い問題もあるので、わからない場合は飛ばすや、後回しにするなどしてもいいと思います。
主要目次:生体物質の化学/生化学実験法とその基礎/酵素反応/代謝/分子生物学/細胞生物学/遺伝子工学・分子医学/分子発生学/免疫/英語問題
「生化学実践問題」は、問題を解きながら生化学を習得できる演習書です。全部で420題もありボリュームがあります。上記の演習書と同じ2011年に出版されています。
生代謝や酵素、遺伝子、がん、分子生物学など生化学の重要トピックを網羅しています。
フルカラーの豊富な図や写真もあり、視覚的に見やすいです。
問題を解き、詳しい解説を読むことで、講義で学んだことを理解できるようになります。
医学部から生命科学系学生まで、自主学習のサポートになる本です。
ホームページで中身ををチラ見できます。
【3-4】問題集 応用 上級者
「生化学演習―大学院入試問題を中心に」は、大学院入試問題の古くからある本です。
この本を完璧にできれば、東大・京大の院試も大丈夫です。
ただし、なかなか難しいので、最初から手を出すと、挫折可能性もあります。
院試の勉強法については「院試勉強法バイブル」を読むことを絶対におすすめ致します。貴重な院試勉強の情報が載っているので非常に参考になると思います。
ちなみに、kindle unlimited(1ヶ月無料)利用すれば、無料で読むことができます。1ヶ月間だけ利用して解約するのもありなので、金欠な学生にはありがたいです。
有機化学、高分子化学、物理化学のおすすめ参考書については以下の記事を参考にしてみてください。