本稿では、
「公務員化学職のおすすめの問題集や教科書について教えて」
「公務員試験で化学職の勉強方法がわからない」
という疑問にお答えいたします。
こんにちは。公務員化学職に合格したことのあるインプロです。
公務員試験で化学職の情報は少ないですよね。当時、私もどうやって勉強したらよいかわからず、ネットで検索したり、試行錯誤して勉強していました。
勉強方法を探すだけで労力を要しますよね。
今回は、公務員試験・技術系で「化学職を目指している人」に向けて記事を書こうと思います。
(※地方上級、国立大学、国家一般職、国家総合職に対応しています。)
教養試験も含めた全体的な勉強法に関しては以下の記事が参考になります。


化学区分の専門科目
専門科目
専門科目の問題内訳は以下のとおりです。
- 必須問題 9題 工学の基礎
- 必須問題 27題 物理化学、分析化学、無機化学、有機化学、工業化学
- 選択問題 4題 生物化学 4題 or 化学工学
※問題数は自治体や年によって多少異なります。
問題レベル
問題のレベルは、大学卒業レベル、院試レベルです。選択問題はどちらか得意な方を選んだ方が良いです。
アドバイス
アドバイスとしては、教養問題に力を入れることも大切ですが、教養問題よりも専門の点数配分が高いため、専門を完璧に勉強する方が、合格レベルに近づきます。
専門化学の勉強で力を入れる配分は以下のとおりです。
1位 有機化学、物理化学
2位 無機化学、化学工学or生化学
3位 分析化学
有機化学と物理化学は、最も問題数が多いので、集中的に勉強すべき科目です。加えて、この2つの科目の教科書・参考書・問題集が豊富にあり、勉強に困らないです。
その次に無機化学と化学工学・生化学が多く、最後に分析化学の順になります。
化学工学も問題集があまり多くなく、参考に至ってはない状態なので、勉強がしにくいかもしれません。幸い「はじめての化学工学」だけは、わかりやすいです。
特に分析化学はあまり良書と言える問題集がなく、勉強し難い上に問題数が少ないです。NMRの問題だけは、出題頻度が高いので勉強しておいた方が良いです。NMRは有機化学の問題にも通じるので、一緒に勉強します。
問題集 公務員試験向け問題集
化学の勉強本は「スーパー過去問 化学」と「化学の頻出問題」を絶対に持っておく必要があります。理由は、市販で勉強できる本がこの本しかないからです。
絶版になっている「ウォーク問 化学職」も、運がよければAmazonの中古で購入できます。
ありがたいことに、「スーパー過去問 化学」は、問題集としてうまくまとまっています。
「スーパー過去問 化学」の優れている点は、各章の最初にまとめがあり、そこがうまくまとまっています。
問題でつまづいた場合、そのまとめを見れば、勉強できるような構成になっています。また、最初に必修問題があり、詳細に解説されており、ぜひ暗記してでも覚えたいです。
勉強方法としては、まず「スーパー過去問 化学」の方を優先して勉強します。その後、余裕があれば「頻出問題」も勉強してください。
公式ホームページから、目次がみれます。さらに、ページの見本もみれます。
問題集 練習問題で数をこなす問題集
国家一般職・地方上級の人は、簡単な問題集で、数をこなして広く浅く学ぶことが大切です。
有機化学の問題集
公務員試験まで時間がなければサイエンス社の「演習 有機化学」を、まだ半年~1年くらい時間があるのらば三共出版の「基礎有機化学演習」をおすすめします。
サイエンス社の「演習 有機化学」は、大学院でよく出題される基礎的な演習問題がたくさん載っています。難しすぎないのでこれがいいです。各章のまとめが丁寧な解説です。
三共出版「基礎有機化学演習」は基礎的な問題集です。サイエンス社の「演習 有機化学」より問題数が多く若干難しめですが、解説がサイエンス社より丁寧です。
無機化学の問題集
「演習で学ぶ無機化学」は問題が優しく、演習を通しながら学ぶことができるので効率的に勉強が可能です。どちらか一冊あるといいです。
物理化学の問題集
公務員試験まで時間がなければサイエンス社の「演習 物理化学」を、まだ半年~1年くらい時間があるのらば「ライフサイエンスの物理化学」をおすすめします。
サイエンス社の「演習 物理化学」は、基礎的な演習問題がたくさん載っています。難しすぎないのでこれがいいです。各賞のまとめが丁寧な解説です。
「ライフサイエンスの物理化学」は、サイエンス社のものより難しいですが、解説が丁寧です。どちらか一冊持っておくと良いです。
分析化学の問題集
サイエンス社の「演習 分析化学」です。こちらは優しすぎるかもしれません。分析化学に関しては、適度な問題集があまりないため、「わかりやすい分析化学」と合せて数をこなしていいかもしれません。
化学工学の問題集
「はじめて学ぶ化学工学」は、問題集ではないのですが、教科書と例題がセットになっているので、こちらをおすすめしたいです。
教科書
教科書は大学で使っているものがあれば、それを使用してください。
理由は、一度勉強しているので、わかりやすいからです。また、あれこれ手をだすよりも、一つのもので勉強したほうが効率的です。
「国家一般職・地方上級」の場合、辞書的な教科書で勉強するよりも、ライトな教科書で幅広く勉強した方が良いです。
理由は試験問題が簡単で、広く浅く知っているかどうかを問う問題が多いからです。
一方、「国家総合職」の場合、辞書的な大学で使用している詳しい本で勉強した方が良いです。
理由は問題のレベルが高く、院試レベルでも難しい問題も出題されるからです。
有機化学の教科書
国家一般職・地方上級向けには、「ステップアップ 大学の有機化学」をおすすめできます。
下記で紹介するマクマリーほど詳細なことはかかれていませんが、国家一般職にはもっとライトなこちらの本をおすすめしたいです。
わかりやすい本を書いている齋藤勝裕さんの本なのでわかりやすいです。
国家総合職を受ける人には、「マクマリー有機化学」がおすすめです。カラー刷りで非常にわかりやすいです。数ある教科書の中でも特に人気が高く、何度も改訂されています。
すべてカラーです。上中下あるので持ち運びには不便です。
高分子化学の教科書
高分子化学の教科書は、国家一般職・地方上級も国家総合職も「基礎高分子化学 第2版」の使用をおすすめします。
この本が一番幅広く記載があり、かつ、詳細なことも載っています。
ちなみに、高分子化学は有機化学の範囲の中に入っていて出題数も少ないので、捨て科目にするのもありです。私は得意なので一応、解きましたが。
無機化学の教科書
国家一般職・地方上級には「ステップアップ 大学の無機化学」をおすすめいたします。シュライバーアトキンスよりライトなこちらの本をおすすめしたいです。
国家総合職の場合、「シュライバーアトキンス無機化学」をおすすめします。こちらは大学院試験レベルの辞書的な本なのです。無機化学のバイブル的な本です。
物理化学の教科書
国家一般職・地方上級には「ステップアップ 大学の物理化学」をおすすめいたします。アトキンスよりライトなこちらの本をおすすめしたいです。
国家総合職の場合、「アトキンス物理化学」をおすすめします。大学院試験レベルの辞書的な本です。京大でも使用していました。こちらは有名な本で何度も改訂されています。若干わかりにくいのが難点です。
分析化学の教科書
国家一般職・地方上級には「ステップアップ 大学の分析化学」をおすすめいたします。クリスチャンよりライトなこちらの本をおすすめしたいです。
国家総合職の場合、「クリスチャン 分析化学」をおすすめします。こちらは大学院試験レベルの辞書的な本なので間違いないです。
化学工学の教科書
国家一般職・地方上級には「はじめて学ぶ化学工学」をおすすめいたします。例題が豊富で、例題を通して学習できるので、問題集としても優れています。高校の微分・積分の例題があり、そこからのスタートなので助かります。
国家総合職の場合、「ベーシック化学工学」をおすすめします。京大の先生の本です。こちらも比較的やさしめです。問題集などを使用してより理解を深めた方が良いです。
生物化学の教科書
国家一般職・地方上級向けには、「基礎からしっかり学ぶ生化学」をおすすめします。基礎的なことがしっかり載っていて良いです。
国家総合職の場合、「ヴォート生化学」をおすすめします。生化学の中ではバイブルの本です。大学院でも使用します。
参考書
国家一般職・地方上級の人は簡単な参考書を読むことをおすすめします。国家一般職・地方上級で難しい問題はでないので、簡単な参考書で幅広く学習するのがポイントです。
特に「マンガでわかるシリーズ」と「絶対わかるシリーズ」は、広く浅くかんたんに勉強できるの特におすすめです。
国家総合職の人でも、勉強したことがない科目があれば、最初の一冊にもおすすめできます。
有機化学の参考書
国家一般職・地方上級を受験する人は、「絶対わかるシリーズ」をおすすめします。
「絶対わかる有機化学」は入門者向けです。学部の有機化学をざっくり復習したい人向けです。
Amazonで中身を試し読みできます。
「絶対わかる基礎有機反応」も同様に、ざっくりと反応を俯瞰したい人向です。簡単な反応から人名反応まで幅広いです。内容も簡単なので、思い出すのに最適です。
Amazonで中身を試し読みできます。
国家総合職で使えそうなのは「知っておきたい有機反応100」です。有機反応の詳細な反応機構が100も載っています。
大概の反応はだいたいこれに載っています。小説のようなサイズでコンパクトなのがとても良いです。
Amazonで中身を試し読みできます。
高分子化学の参考書
「マンガ+要点整理+演習問題でわかる 高分子化学」は、国家一般職・地方上級の人におすすめです。大学1~2年の学部レベルでかつ優しい内容です。
Amazonで中身を試し読みできます。
無機化学の参考書
「マンガ+要点整理+演習問題でわかる 無機化学」は、国家一般職・地方上級の人におすすめです。最初の学部の勉強の復習に最適です。
Amazonで中身を試し読みできます。
物理化学の参考書
「マンガ+要点整理+演習問題でわかる 物理化学」は、国家一般職・地方上級の人におすすめです。
Amazonで中身を試し読みできます。
分析化学の参考書
「マンガ+要点整理+演習問題でわかる 分析化学」は、国家一般職・地方上級の人におすすめです。
Amazonで中身を試し読みできます。
生化学の参考書
「亀田講義ナマ中継 生化学」は、国家一般職・地方上級の人におすすめです。
Amazonで中身を試し読みできます。
勉強方法
入門編~応用編までやることをおすすめします。基礎編で紹介している人事院からの過去問の取り寄せは最初にやっておいてください。
①入門編
国家一般職も国家総合職も、まずは「スーパー過去問 化学」を完璧にすることがファーストステップです。
間違っても「教科書通読から始める」という勉強方法はやらないでください。問題集で出題傾向を知り、出題傾向の部分を勉強するのが最も効率的です。
国家一般職であれば、「スーパー過去問 化学」をやるだけもでなんとか問題が解けるようになってきます。ここが一番しんどいですが、ここでくじけないのが一番大事です。
「スーパー過去問 化学」は、最初は解けない問題が多いです。まずは、簡単な問題から解いていき、簡単な問題をどんどん覚えて完璧にしていきます。
解き方はまる暗記しても良いです。理解が後から付いてきます。紙に解き方を書いて覚えると良いです。
難しい問題については、ざっと目を通して飛ばして、2周目移行に深堀りして勉強します。教科書を使用して、時間をかけながら、根本から理解していきます。また、他の問題集なので類題がないかも探して解き方を勉強します。
生物化学と化学工学はどちらか一方に絞ります。どっちも勉強するのは時間のムダです。
問題集の問題をざっと見て、どちらの問題が解けそうか判断しましょう。得意な方を選ぶほうが時短になります。
次に、「化学の頻出問題」を完璧にしますが、国家総合職の人は全問がほぼわかるように完璧にします。国家一般職の人は、地方上級と国家Ⅱ種の問題だけ完璧にします。
ここまでやると、なんとく問題がわかるようになってきます。ただし、しっかり合格を狙うにはもう少し努力した方が良いです。
物理化学、有機化学、高分子化学、無機化学、分析化学、化学工学、生物化学を勉強しようとしたときに、これだけの勉強ではどうしても不安です。
理由は要点や頻出問題をまとめた本なので、問題数が少なすぎて、まだ問題の解き方の練習不足は否めません。
次のステップに行きレベルアップしましょう。
②基礎編
直近でどんな問題がでているのか、国家一般職・国家総合職の過去問題を確認して、勉強して必要があります。これはマストです。
面倒ですが、「人事院」から過去問5~7年分程を度取り寄せて、問題を見ておく必要があります。解説が無いのに、値段が高いのが非常に残念です。
申請してから手元に届くまで1ヶ月程度かかるので早めに申し込みしておいた方がよいです。
ただ、幸いにも下記のサイトで無料で過去問を公開及び解説しています。自分が公務員試験を受けたときにはなかったサイトです。羨ましい限りです。
過去問の勉強方法としては、問題をみて解答を自力で作っていきます。
わからない問題は類題を、他の問題集や「スーパー過去問 化学」、「化学の頻出問題」で探しましょう。
インターネットで検索しても良いです。知恵袋や教えてgooなんかで質問するのもありかもしれません。
解答ができたら、その解答を見ずに自分で解いていきます。これを完璧にします。
ここまで来たら、もう合格レベルになっています。ただし、合格ラインにいるだけで、高得点ではありません。
余裕があれば次のステップにも進みましょう。
③応用編
最後に、類題を別の問題集でこなしていきます。
例えば、物理化学で反応速度論がよく出ているなら、その類題を解きまくります。そして、何度も復習します。
これで、応用力が身につき、初見の問題でもかなり解けるようになってきます。
問題もある程度解けるようになってきたら、①入門編~③応用編をぐるぐる繰り返すだけです。
ここまでできたら、高得点で合格できると思います。勉強に自信の無い方はここまでやってもいいと思います。
