本稿では
「EXCELで実験計画法を学ぶおすすめの本を教えて!」
「実験計画法を学ぶためのおすすめの本はある?」
という質問にお答え致します。
こんにちは。現在、会社で研究開発をしているインプロです。
会社で多くの水準の実験をする際に、「実験計画法」は最小の実験数で最大の結果を生み出す非常に有効な方法です。マーケティングや企画などの分野でも実験計画法は威力を発揮します。
しかし、実験計画法を実施するに当たって、「難しくてわからない!」ということや、「専用の解析ソフトがない!」という悲鳴があがります。
実際に、内容も小難しく書いてある本が多く、かつJMPやSPSSなどの数十万するような専用ソフトがあり、手がでない人も多くいます。
そのため、本稿では身近なソフトであるエクセルを使用して、実験計画法をわかりやすく学ぶことができる本を紹介しようと思います。
EXCELで実験計画法を学ぶメリット
会社でJMPなどの専用ソフトを使用しているならば良いですが、その専用ソフトがない場合には自分で解析するしかありません。
また、転職などして専用ソフトが使用できなくなった場合、EXCEL、R、Pythonなどのソフトで実施するしかありません。
その中でもEXCELは身近なソフトでVBAなどのプログラミングも必要ないため、ハードルが非常に低く、やり方もインターネットや書籍などで出回っているため学びやすいです。
また、データをEXCELでまとめている場合が非常に多く、JMPなどの専用ソフト向けにデータを整理しなくて良いというメリットがあります。
余談ですが、実は私も転職後に有名なソフトが使えなくなり、エクセルで実験計画法をできないかと勉強し始めたのがきっかけでもあります。
そのおかげで、実験計画法や統計学をより深く、根本から理解できるようになったと思います。
実験計画法の入門書
大村さんの「実験計画と分散分析のはなし」は、実験計画法を非常にわかりやすく解説している本です。
こちらの本はEXCELとは関係ないのですが、「一度も実験計画法を勉強したことがない!」、「実験計画法を勉強したことはあるけど、なぜそうなるのかわからない」という人におすすめできます。
わかりやすいので、文系の方に特におすすめできます。文系の方にもおすすめできる理由は、計算を非常に容易に解説しているからです。
足し算、引き算、割り算などで難しい計算を使用しません。
わかりやすく説明しすぎているせいで、若干くどいと感じることもあります。一度、勉強した人でも「なぜそうなるの?」と疑問に思っていることも解決できます。
二元配置、三元配置、直交表まで解説しており、「なぜそうなるのか?」ということが原理からわかります。
Amazonで試し読みできます。
EXCELで実験計画法の初級編
「Excelで学ぶ営業・企画・マーケティングのための実験計画法」はその名の通り、文系向けのテキストになっています。
もちろん文系向けに優しく書かれているので、理系の初学者や計算が苦手な人にもおすすめできます。
入門レベルの知識から、いっきに応用レベルまで押し上げてくれるので、非常におすすめしたい本です。この本を読めば、あとは実践していくだけです。
具体的には、EXCELに最初から付属している分析ツール(アドイン)を使用して進めていきます。分析ツールは無料で、EXCELのオプションからインストールできます。
私的にはエクセルの分析ツールを駆使して、直交表を解析していく技術ははすごいと思いました。「こんなことできるんかい!」という驚きです。
内容が実践的なので、学んだことをすぐに実践に結びつけることができるのもいいです。
EXCELでここまでできるのか!と関心させられます。「高額なJMPやSPSSなどのソフトは不要だな」と思わせてくれます。
解説は、分散分析に始まり、一元配置、二元配置、三元配置、直交表、交互作用、多水準作成法など解説しています。
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「図解入門 よくわかる最新実験計画法の基本と仕組み」も後半の方で、実験計画法の直交表までEXCELを手計算で学ぶことができます。
人気がある本で第2版まで改訂されています。
EXCELで実験計画法の中級編 直交表・重回帰分析
「Excelで学ぶ実験計画法 シックスシグマと重回帰分析 第2版」は、上記の中級編よりもさらに詳細に、詳しく学ぶことができます。
中級編を卒業した人には、こちらも勉強することを推したいです。一元配置、二元配置を「繰り返しありなし」などに分けて解説してくれています。
終盤で説明する重回帰分析を使用した実験計画法・DOEの知識もマーケティングや実験に適用できる素晴らしい知識です。
この本の一番いいと思ったところは、最後のDOEを使った実験計画法の解説です。
アンケート調査の回収率上げることを実例にあげており、最初に直交表で実験し、その直交表から重回帰分析で最大の結果を得る方法を分析していきます。
付属ソフトも使用できますが、エクセルに標準付属の分析ツールも駆使して分析していくのが非常に素晴らしいです。
アンケート調査だけでなく、マーケティングや研究開発の実験計画にも応用できるので、ぜひ習得しておきたいです。
ただ、残念ながら最新版(第2版)の本は、売り切れ状態になっています。Kindle版があるためそちらが利用できます。
あるいは、下の方で紹介しているこの作者の「例題とExcel演習で学ぶ 実験計画法とタグチメソッド」でも似たような分析(直交表+重回帰分析)があるので、そちらを利用することをおすすめします。
また、どうしてもこの本で学びたくかつ、紙面が良いのであれば第1版の古い方をAmazonマーケットプレイスなどの中古で購入するしかありません。
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EXCELで実験計画法の上級編 タグチメソッドまで
「例題とExcel演習で学ぶ 実験計画法とタグチメソッド」は、EXCELで実験計画法の直交表からタグチメソッドまで学ぶことができます。
タグチメソッドまでEXCELで可能にするのは、すごいと思いました。タグチメソッドまで学びたい人はぜひこの本まで学習することをおすすめします。
実験計画法と合わせて勉強したい統計学入門
実験計画法は統計学に基づいて、有意差検定を行っていきます。その検定はエクセル分析ツールで勝手にできてしまいます。(エクセルが自動計算してくれる)
本当は統計学を学んでから実験計画法を学ぶことが正しい順序なのですが、会社の研修ではサラッと説明して、いきなり実験計画法にいく場合があります。
(ちなみに、私は実験計画法の研修をそれぞれ別の会社で2回受けていますが、過去2回ともそうでした。)
統計学をしっかり学びたいかたは、エクセル「完全独習 統計学入門」をおすすめします。統計を学ぶ人の間では、非常に有名な本です。
私も実験計画法を含めたQCを勉強した時に、講師におすすめされて、購入しました。
この本は早い人なら4~5時間くらいで終わる内容で、中学生でもわかるんじゃないか?というくらいのレベルからスタートします。
カイ二乗分布やt検定の内容まで理解できるようになります。
私は前半の標準偏差の意味の説明が非常にわかりやすいと思いました。同時に、普段なんとなく使用している標準偏差にこういう意味があったなんて!と感銘を受けました。
途中、ガウスの難しい式がでてくるのですが、「おぞましい式がでてきて、発疹ができるといけないので、無視して先に進みましょう。」という、読者の気持ちを察して話を進めてくれます。
Amazonで中身を確認できます。
PythonやRで実験計画法を考えている人は以下の記事を参考にしてみてください。